脳外の復習
[:出来なかったところ]
・頭蓋内圧
・アセタゾラミド負荷試験
・脳内出血
・下垂体腫瘍の薬物の特徴
・髄膜腫の拡大リスク因子
・Horner症候群
1 頭蓋内圧(ICP)について
・頭蓋内圧亢進の基準値は、
成人:200mmH2O
小児:100mmH2O
幼児:50~70mmH2O
乳児:40mmH2O これが上限。
・脳腫脹は、脳血管内に過度に血液が貯留した状態、血管床の拡大で起こる。
ex: 急性硬膜下血腫、重症くも膜下出血など
脳幹への障害時に発生することが多い。
・脳浮腫は、脳実質内に過度に水分が貯留した状態、もしくは脳組織内の水分含有量の増加により起こる。
・ICP亢進の3徴候
- 頭痛⇨三叉神経や舌咽神経などが直接刺激を受けたりすることで生じる。
- 嘔吐⇨延髄の嘔吐中枢への刺激
- うっ血乳頭⇨視神経静脈の還流障害
・症状
- 上記の3徴候
- 意識障害
- 外転神経麻痺
- クッシング反射:ICP亢進によりAutoregulationが障害されると生じる。3徴候は①血圧上昇 ②徐脈 ③呼吸障害
- 脳ヘルニア 瞳孔不同、対光反射の消失、随意運動障害など
- その他局所症状など
・慢性であれば、頭痛は全体、持続性、進行性、早朝に強い。嘔吐も早朝に起きやすい。
・関連症状として、視床下部の障害、肺水腫、消化管出血(クッシング潰瘍)、Na上昇、K低下、高血糖、尿崩症など
・原則頭蓋内の血液はICPが安定する方向に働く。
例えばICP亢進なら、頭蓋内よりも頭蓋外への血液が増加し、ICPを下げる。
頭蓋内の血流量は、動脈流入量、静脈流出量、脳血管張力により決まる。
血管が弛緩⇨血流量↑↑、血管が収縮⇨血流量↓↓
・頭蓋内の水分も同様に、ICPが安定する方向に働く。
ICP亢進の場合は、まず髄液圧と上矢状洞圧の較差が増加し、髄液の静脈洞(頭蓋外)への導出が増える。次に、水分は脳室から脳実質内へ移動する。それから脳灌流圧が下がるので髄液の原料である血液が減り、髄液産生が低下する。
・Autoregulationは、脳灌流圧が変化しても、脳血管抵抗の順応的反射により脳血流量を一定に保つ脳の働きのこと。血管を自在に拡張、収縮させることで安定したICPを維持している。
ICP亢進が進行すると、Autoregulationは障害され、脳血流は脳灌流圧に受動的に従うようになる。こうなると、ICP亢進でも血圧低下でも脳血流量が低下するので、血圧が上がれば脳血流量は増加するが、同時にICPもさらに上昇する。
・この結果起こるのが、クッシング反射。
・Autoregulationが障害されると、脳血流量が低下する。
このため、脳灌流圧を保つためにVasopressor responseにより動脈圧、つまり収縮期血圧が上昇する。
・Autoregulationの障害
↓
脳灌流圧の低下で延髄血管運動中枢の虚血、循環障害
↓
圧受容体が刺激される
↓
脳幹のねじれ、機械的圧迫
↓
血管運動中枢に隣接する第4脳室が圧迫される
↓
大量のカテコラミンが放出、交感神経反射により末梢血管を収縮させ、収縮期血圧が上昇する。
・治療
- 保存的治療:頭部を挙上させる。維持輸血を行う。人工呼吸、血糖コントロール、浸透圧利尿剤(マンニトールなど)、ステロイド、バルビタールなど
- 外科治療:脳室ドレナージによる髄液の排除、頭蓋内圧占拠病変の除去、内減圧術、外減圧術など
2 アセタゾラミド負荷試験
・脳血流負荷試験のことである。脳血管内に炭酸ガスを加え、脳血管が血中CO2濃度の変化に対応し、拡張または収縮する反応の程度を見ることで脳血流量を調節する能力を調べる。
・アセタゾラミドは炭酸脱水酵素阻害剤である。
アセタゾラミド負荷
↓
組織中にCO2が残る
↓
脳組織の細胞外腔にプロトンが増加し、pH低下
↓
脳血管壁の筋トーヌスが低下
↓
脳血管拡張
・脳内出血
突然の頭痛、意識障害なら疑うべき。
中大脳動脈からの分枝
共同偏視は病側を向く。最も多い部位。
視床出血:後大脳動脈から分岐する視床穿通動脈、視床膝状体動脈からの出血。
眼球の内下方偏位(寄り目)、錐体路まで出血が及べば片麻痺、感覚障害
上丘が障害されるため上方注視麻痺が起こるので寄り目になる。
脳幹出血:脳底動脈(橋動脈)からの出血が多い。
出血量が多ければ最も重症かつ予後不良。
意識障害、四肢麻痺、呼吸障害、両側性除脳硬直、眼球の正中位固定、
瞳孔の高度縮小(pinpoint pupil)
日中に突然の激しい後頭部痛(くも膜下出血に類似)、ふらつき、
回転性めまい、反復する嘔吐
急性水頭症、上行性ヘルニア、大後頭孔ヘルニアをきたすこともある。
皮質下出血:高血圧由来というよりは脳動静脈奇形やモヤモヤ病などの血管病変が
原因になることが多い。
3 下垂体腫瘍の治療
・プロラクチノーマ
ブロモグリプチン、テルグリド、カベルゴリン
・GHoma
手術が第1選択
薬物療法だと、
ソマトスタチン誘導体
(オクトレオチド、サンドスタチンLAR、ランレオチド)
GH分泌抑制作用を有する視床下部ペプチドである。レセプターは下垂体にある。
ランレオチドはインスリン分泌能に影響を与える可能性あり。
ドパミン作動薬は、正常者では分泌を増加させるが、先端巨大症患者では低下。
GH受容体拮抗薬だとペグビソマント。GH濃度でのモニタリングが不可能のため、IGH-Ⅰで行う。
4 髄膜腫の拡大リスク因子
・髄膜腫は約4年間で40%が増大する。
・増大の予測因子は
①60歳以下
②石灰化のないもの
③T2W1で高信号
④浮腫を伴う
⑤サイズが大きいもの
5 Horner症候群
・交感神経の障害により①眼瞼下垂②縮瞳③眼裂狭小④病側顔面の発汗低下をきたす。
・交感神経遠心路のいずれにおいても生じる。
・1次ニューロン:視床下部⇨脳幹⇨脊髄中間外側核(側角C8~T2)
・2次ニューロン:交感神経幹に入って上行⇨上頚神経節
・3次ニューロン:内頸動脈と共に頭蓋内へ⇨交感神経叢⇨瞳孔散大筋など